磯魚モニタリングプロジェクト(PRFM)とは?

 

 2000年前後から「地球温暖化」やそれに伴う「海水温上昇」に関する話題がマスコミで取り上げられる機会が多くなってきました。この背景には,気候変動に関する国際連合枠組条約(通称地球温暖化防止条約)の採択(1992年),その第3回締結国会議で温室効果ガスの削減目標を定めた京都議定書の採択(1997年)などがあることは言うまでもありません。

 これに伴い,われわれのような魚類の生態を研究している研究者のところには,「○○(温帯域の地名)に出現した□□(熱帯性魚類)は地球温暖化の影響の例と考えてよろしいか」などといった質問がマスコミから多く寄せられるようになりました。

 しかし残念ながら,われわれの立場としては多くの場合,「地球温暖化と熱帯性魚類の出現との因果関係はよくわかりません」としか答えようがありませんでした。というのは,そのことを説明するために必要となるその魚の過去の観察記録や標本が十分に残されていないからです。そもそも温帯域にも黒潮に乗って熱帯性魚類はやってきますし,現在温帯域で熱帯性魚類が確認されても過去と増減を比較できるデータはほとんど残されていないのです。

 このことがきっかけで発足したのが磯魚モニタリングプロジェクト(Project for Reef  Fish Monitoring: PRFM)です。このプロジェクトでは,熱帯性魚類の幼魚が温帯域に回遊し,そのまま冬を越せるかを水温と関係付けながら長期間にわたりモニタリングを行っています。

 このプロジェクトは須之部友基さん(元東京海洋大学)が創設し,2008年から日本各地の研究者が同じプロトコルでモニタリングを行っています。

 

 PRFMのプロトコル

 PRFMのデータシート

 

千葉県館山に出現した熱帯性魚類のツノダシ(左)とフエヤッコダイ(右)